中小企業者に関する平成31年度税制改正について

2020.02.28

税務トピックス

相続・資産税

今回は、平成31年度税制改正のうち、中小企業や個人事業主に関係する主な改正点を確認します。

個人版事業承継税制の創設

 

中小企業の事業承継を税制面から支える国の取り組みとして、法人版事業承継税制に続き「個人版事業承継税制」が施行されました。

個人事業の承継につき、一定要件のもとで行われる「特定事業用資産」の贈与・相続等にかかる贈与税・相続税の全額の納税が猶予され、さらに一定の要件を満たすことで猶予税額が免除されます。
納税猶予の対象となるのは、平成31年1月1日から令和10年12月31日までの10年間に行われる贈与や相続等です。

特定事業用資産とは

贈与・相続等を行った前年の事業所得にかかる青色申告書の貸借対照表に計上される次の資産です。

・宅地等 (400平方メートルまで)

・建物 (床面積800平方メートルまで)

・一定の減価償却資産 (機械装置、器具備品、車両、乳牛・果樹等の生物、特許権等の無形償却資産など)

「個人事業承継計画」の確認を受けることが必要

 

後継者は、経営承継円滑化法に基づく認定を受けるとともに、平成31年4月1日から令和6年3月31日までに「個人事業承継計画」を都道府県に提出して知事の確認を受ける必要があります。

法人税の軽減税率の特例

【制度の内容】
資本金の額が1億円以下等の法人について、所得800万円以下の部分については法人税率15%とする制度。

中小企業投資促進税制

【制度の内容】
一定の設備投資について、30%の特別償却または7%の税額控除を選択適用できる制度。

中小企業経営強化税制

【制度の内容】
中小企業等経営強化法による認定を受けた一定の設備投資について、即時償却または10%の税額控除を選択適用できる制度。

商業、サービス、農林水産業活性化税制

【制度の内容】
商業・サービス業等を営む中小企業者等が行った一定の設備投資について、30%の特別償却または7%の税額控除を適用できる制度。

なお追加要件として、平成31年4月1日以後の設備投資から、その設備投資計画によって年間2%以上の売上高または営業利益の上昇が見込まれることについて認定経営革新等支援機関などによる確認を受けることが必要となった。

研究開発税制の上乗せ特例

【制度の内容】
研究開発税制とは、試験研究費の総額の12%の税額控除(上限あり)が受けられる制度。
延長されたのは、控除税額の上乗せ特例(12%→17%)の部分となる。(本体は恒久措置)

延長と同時に、控除税額の上限の引き上げや、上乗せ要件となる増減試験研究費割合5%超の要件が8%超になるなど、見直しが同時に行われている点に留意が必要となる。

 

事業継続力強化税制の創設

 

中小企業者が行った防災等への設備投資について、20%の特別償却ができる制度になります。
対象となるのは、事業継続力強化計画(仮称)の認定を受けた事業者が行う、防災のための設備の取得です。
たとえば、防火シャッターや制震・免震機能のある備品、自家発電機等が考えられます。対象設備には、それぞれ下限となる金額があるので注意が必要です。(建物附属設備:60万円以上、器具備品:30万円以上、機械装置:100万円以上)