ワクチン接種は消費税がかかるのか?
2021.10.22
税務トピックス
消費税
ワクチン接種に消費税がかかるかどうかについて、解説します。
ワクチン接種は消費税の課税対象になる
ワクチン接種の代金には、消費税がかかります。
そもそも消費税がかかるものとは、原則、国内において、事業として対価を得て行われる、
資産の譲渡・貸付け、役務の提供にあたる取引とされています。
「資産の譲渡・貸付け、役務の提供・・・」とするとわかりにくいのですが、
簡単にいうとこれは「物の売買・レンタル、サービスの授受」のことです。
ただし、これらの中には、社会政策的に消費税を課すことが好ましくないものがあります。
その一つが、医療サービスのうち、社会保険診療にあたるものです。
社会保険診療とは、いわゆる「保険が使える医療」のことで、ご存知のとおり、
公的医療保険制度によって、被保険者は窓口で一部の医療費を負担し、
残りは、個人や会社が保険者に納める月々の保険料から賄われるものをいいます。
これによって、私たちが病院などの窓口において3割負担などで支払う代金に、
消費税はかかりません。
しかし、同じように窓口で支払う代金でも、社会保険診療にあたらない「自由診療」と
呼ばれる10割負担のものには、消費税がかかります。
その一つが、ワクチン接種です。
インフルエンザワクチンなどの領収書を見ると、消費税を支払っていることがわかると思います。
新型コロナウイルスのワクチン接種に消費税はかかる?
それでは、新型コロナワクチンの接種にも消費税がかかるのでしょうか。
新型コロナワクチンの接種料は、すべて公費から支払われるため、
接種を受けた人から料金が徴収されることはありません。
したがって、ワクチン接種そのものは、消費税の課税対象になるサービスですが、
新型コロナのワクチン接種には、接種する人・される人の間で対価が発生しないため、
「課税対象外」(不課税)になります。
ちなみに企業等が行う職域接種であっても、接種する従業員等から実費を徴収することは
できないとされています。
職域接種の委託料は課税売上になる
前項で触れましたが、新型コロナワクチンの「職域接種」というものが、
今年6月21日から実施されています。
職域接種とは、市町村によるワクチン接種を加速するため、医療機関、企業や大学等に、
ワクチンの接種事業を市町村から委託するものです。
委託を受けた場合、接種1回あたり税抜き2,070円(税込み2,277円)が、市町村から委託先に
支払われるのですが、この委託料については、消費税の課税対象になることが、
国税庁より明らかにされています。
簡易課税を選択している事業者であれば、この委託料は、
「第五種事業」(みなし仕入率50%)に該当します。
取扱いに誤りのないようご注意ください。
(参考)新型コロナウイルス感染症に関連する税務上の取扱い関係(問14-3)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kansensho/faq/04.htm