令和3年(2020年分)から変わる!確定申告に関する税制改正➀~青色申告&基礎控除など~

2020.09.24

税務トピックス

所得税

2020年も既に9か月が経過し、あっという間に空気も秋めいてきました。

年が明けると迫ってくる「確定申告」の時期ですが、ご自身で申告を行う場合は、年に1回のことで、毎年頭を悩ませている方もいるのではないでしょうか。予め準備をしておくことで、慌てず間違いなく余裕をもって提出しましょう。(面倒な場合は専門家である税理士に頼みましょう。)そのためにも、今回の申告での改正点を確認しておきましょう。

※今回の改正は2021年2月16日~3月15日に行う、2020年分の確定申告分から適用されます。

1.青色申告特別控除が3段階になる。

これまで(2019年分まで)、青色申告特別控除は、「10万円」と「65万円」の2段階でした。

【2019年分までの要件】

・「10万円」控除

➀青色申告の承認を受けている

②簡易帳簿レベルの帳簿の作成をしていること。

・「65万円」控除

➀青色申告の承認を受けている。

②事業所得または不動産所得(事業的規模に限る)がある。

③②の所得について、正規の簿記の原則による帳簿の作成を行っている。

④③の帳簿に基づいて損益計算書・貸借対照表を作成し添付し、適用を受ける控除の金額を記載した確定申告書を、法定申告期限内(3月15日まで)に提出する。

※「現金主義」によることを選択する場合は、65万円控除を受けることは出来ません。

 

2020年分からは、この2段階であった控除額が、「10万円」「55万円」「65万円」の3段階となります。

【改正後の要件】

・「10万円」控除

これまでの要件と変更はありません。

・「55万円」控除

これまでの「65万円」控除の要件が適用されます。

よって、これまで通りの申告を行う場合(e-TaX以外での提出)は、10万円控除額が下がります。

・「65万円」控除

「55万円」控除の要件に加えて、

e-Taxによる申告(電子申告)又は電子帳簿保存を行うことが必要となります。

電子帳簿保存(一定の要件の下で、帳簿を電子データのままで保存できる制度)をするためには、申請書を帳簿の備付けを開始する日の3か月前の日までに、申請書を税務署に提出する必要があります。(2020年分に限っては、9月30日までに承認申請書の提出が必要。)

上記よりも、インターネット環境が整っていれば、より簡易的に行えるのが、「e-Taxによる電子申告」です。マイナンバーカードと、ICカードリーダライタ又はスマートフォンがあれば、国税庁ホームページより、ご自宅のPCから申告が可能です。

2.基礎控除が10万円引き上げられる。

これまでは「38万円」であった基礎控除が、10万円引き上げとなり、「48万円」となります。ただし、これまでは全ての人にこれが適用されてきましたが、所得制限が加わることとなります。

納税者本人の合計所得金額 控除額
2,400万円以下 48万円
2,400万円超2,450万円以下 32万円
2,450万円超2,500万円以下 16万円
2,500万円超 0円

 

3.基礎控除にあわせて所得要件が緩和される控除

基礎控除額を基準として所得要件が定められている以下の控除は、2.基礎控除の改正にともない、所得要件が緩和されます。

・配偶者(特別)控除

・扶養控除

・寡婦(寡夫)控除

・勤労学生控除

・障碍者控除

 

例えば、配偶者控除は、これまで配偶者の年間合計所得が「38万円」以下であることが条件でしたが、2020年分からは、「48万円以下」に改正されます。

よって、配偶者控除の要件は、(④が変更)

➀(民法上の)配偶者がいること。

② 納税者と配偶者が生計を一にしていること

③ 配偶者が、青色専従者給与を受け取っていない(または白色専従者でない)こと

④ 配偶者の年間の合計所得が、48万円以下であること

控除額は従来通りで、「13万円、26万円、38万円」の3段階です。

 

個人事業主にとっての今回の改正

改正はその他にもありますが、個人事業主にとっては、青色申告特別控除と基礎控除は特に重要なポイントとなってくると想定されます。

青色申告に関して、今まで通りの控除を受けようとすると、e-TAXを使用しなければならず、これまで紙面での申請をしてきた場合は、手続きが煩雑になります。

また、基礎控除については、給与所得を貰いながら事業をしている、ということでなければ、基本的には事業者にとっては有利な改正になっているはずです。

次回は、改正②と題し、その他に確認しておくべき改正をご紹介します。