ビットコインを使用することにより利益が生じた場合の課税関係

2019.09.27

税務トピックス

所得税

 

ビットコインとは仮想通貨の1つで、ブロックチェーンというネットワーク上のシステムを使って所有者の管理等を行うことができる「お金のデータ」です。

ビットコインをはじめ、仮想通貨は、購入してウォレットに保管しているだけであれば課税の対象にならないのですが、

・仮想通貨を売却する

・仮想通貨を使用する

・仮想通貨同士を交換する

・マイニングや分裂で取得する

といった場合、その所得は課税対象になります。

課税対象となる行為のうち、今回は、個人が保有するビットコインなどを買い物などで使用した場合の課税関係について解説します。

 

使用による利益には所得税・住民税がかかる

 

もし、1BTCを80万円で個人が購入し、それを100万円で売却すれば、差額の20万円が課税所得になることは、わかりやすいと思います。

課される税金は、所得税と住民税です。

ビットコインを買い物などに使用した場合も、基本的な考え方は同じになります。

もし、80万円で購入した1BTCで、100万円の商品を購入した場合、差額の20万円が課税所得になります。

購入した商品やサービスの価額 - ビットコインの取得価額 =課税所得

 

ビットコインの取得価額の計算方法

 

ビットコインの取得価額について、国税庁では「移動平均法」で計算することを相当とし、継続適用を要件に「総平均法」の適用も認めています。

国税庁 FAQ:Q11参照
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2018/faq/pdf/04.pdf

 

移動平均法は、購入の都度、保有する仮想通貨の平均単価を計算する方法で、総平均法は年間取引を通じて平均単価を計算する方法になります。

一度も払い出し(使用、売却、交換)を行わなければ、どちらの方法で計算しても取得価額は同じですが、購入の合間に払い出しが行われた場合、平均単価が変わり、その結果、所得の額が変わります。

次の例で、移動平均法と総平均法の計算方法を見ていきましょう。

・1月1日 1BTCを60万円で購入
・4月1日 2BTCを90万円で購入
・8月1日 100万円の商品の購入に1BTCを使用
・12月1日 1BTCを50万円で購入

 

 ー 移動平均法 ー

購入の都度、単価を計算します

日付 単価 残高
1月1日 60万円 1BTC
4月1日 80万円 3BTC
8月1日 2BTC
12月1日 70万円 3BTC
翌期繰越 70万円 3BTC

 

【ビットコイン使用時(8月1日)】

100万円-80万円=20万円

※1(60万円+90万円×2BTC)/3BTC

※2(80万円×2BTC+50万円)/3BTC

 

 ー 総平均法 ー

最後の取引を終えたあとに、その年の取得価額が決定します。

(1BTC×60万円+2BTC×90万円+1BTC×50万円)/4BTC=72万5,000円

 

【ビットコイン使用時(8月1日)】

100万円-72万5,000円=27万5,000円

 

どちらの計算が有利になるかはケースバイケースですが、いずれの計算方法も継続適用が条件ですので、計算結果によって方法を変えられるわけではありません。

なお、取得価額の計算には、仮想通貨取引所に支払う購入手数料も含めます。

 

ビットコインは総合課税の「雑所得」

 

ビットコインから生じる所得は、総合課税となります。

FXや先物取引、株式のように分離課税とはなりません。

所得区分は、原則「雑所得」です。

なお、個人事業主の場合、次のケースは「事業所得」になります。

〈事業所得になるケース〉*個人事業主
・ その仮想通貨取引自体が事業と認められる場合
・ その仮想通貨取引が事業所得等の基因となる行為に付随したものである場合

 

事業所得は所得税・住民税のほか、所得の金額等によって都道府県に支払う事業税の対象になります。

 

ビットコインを使用したときの消費税

 

ビットコインを使用した時、商品の購入価額や仮想通貨の購入手数料に含まれる消費税も、取得価額に含めます。

たとえば、税込み108万円の商品を、1BTC(取得価額:80万円+購入手数料税込み540円)で購入した場合の課税所得は、108万円から80万540円を控除した額になります。

ただし、消費税の課税事業者が事業所得にあたる仮想通貨の使用を行った場合は、その事業者が採用する経理方式(税抜・税込)にしたがって処理を行います。

なお、ビットコインの譲渡行為は、消費税の非課税取引にあたります。

課税事業者が行う課税売上割合の計算にも含めなくてよいため、特に気にする必要はありません。

国税庁 FAQ:Q18参照
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2018/faq/pdf/04.pdf

 

まとめ

 

ビットコインなど仮想通貨を使用したときは、商品の購入価額と、使用した仮想通貨の取得価額の差額が所得になります。

なお、仮想通貨によって生じた所得に確定申告が必要かどうかは、納税者の方が給与所得者かそれ以外かで変わります。

給与所得者の方の場合、給与所得と退職所得以外の所得が20万円を超えるときは確定申告が必要です。

ただし、20万円以下であっても、他の理由で確定申告を行う場合は、20万円以下の所得も全額申告しなければなりません。

仮想通貨の確定申告についての相談は、税理士に行いましょう。