【税制改正】住宅ローン控除13年の適用延長へ

2021.01.29

税務トピックス

所得税

 

令和元年10月の増税によって、令和元年以降、本来10年しか受けられない住宅ローンの控除を13年受けられるケースが誕生しました。

このルールは、最長で令和2年末までに入居するケースで終了の予定でしたが、現在、新型コロナ税特法により、令和3年末の入居にも対応できるよう弾力的な扱いが運用されています。

そして、令和3年度税制改正により、最長で令和4年末までの入居にも適用できるようになる見通しです。

この記事では、税制改正における住宅ローン控除の改正内容と、その注意点について解説します。

 

令和3年度税制改正の内容

税制改正で、新たに13年の控除が適用されるのは、①住宅の「特別特例取得」をした人が、②令和3年1月1日から令和4年 12 月 31 日までにその住宅に居住するケースです。

 

「特別特例取得」とは

まず①の「特別特例取得」とは、住宅の取得に適用される消費税率がすべて10%で、かつ、以下の期間中に、工事請負契約や売買契約などが締結された住宅をいいます。

 

新築 令和2年10月1日から令和3年9月30日まで
既存住宅 令和2年12月1日から令和3年11月30日まで

(建築後、使用されたことのない住宅は「既存住宅」になります。)

 

令和3年1月1日から令和4年 12 月 31 日までに居住した人

続いて②は、控除を受ける人の入居日が、令和3年1月1日から令和4年 12 月 31 日までの間にあることを求めるものです。

ただし、新築や取得から6ヶ月以内の入居である必要があります。

 

対象となる住宅の拡大も

これまでは、床面積が50㎡以上の住宅でなければ、住宅ローン控除の対象になりませんでしたが、「特別特例取得」では、40㎡以上から対象になります。

低面積に使えるようになったことで、単身者の利用も増えるかもしれません。

ただし、40㎡以上50㎡未満の住宅で控除を受けるときは、通常よりも厳しい所得制限の条件が追加されます。(下記、注意点2参照)

なお、これは「特別特例取得」による新しいルールですので、それに該当しない契約、たとえば令和元年に購入した住宅に使えるものではありません。

 

延長された3年間の控除額

本来10年である住宅ローン控除の控除期間が3年間延長された趣旨は、消費税2%分の増額による負担をなくすためです。

そのため、11年目以降の控除額は、10年目まで(残債×1%)とは計算が異なります。

具体的には、11年目から13年目の各年の控除額は、住宅を購入するときの建物等の代価の2%の3分の1か、残債の1%のいずれか小さい額が限度になります。

 

 

税制改正の注意点


注意点1:他の要件は従来の住宅ローン控除と同じ

「特別特例取得」であっても、その他の要件は、現行の住宅ローン控除の
ルールと同じとなる見通しです。

【現行の住宅ローン控除の主なルール】

・新築や取得から6ヶ月以内に居住すること
・住宅ローンの返済期間が10年以上あること
・適用を受ける各年の12月31日まで引き続き居住すること
・適用を受ける各年の合計所得金額が3,000万円以下であること

特に下2つの要件は、毎年判定が必要になるルールです。
要件を満たさない年は、控除を受けられません。

 

注意点2:40㎡以上50㎡未満の所得制限

上記の床面積の住宅で住宅ローン控除を受ける場合、適用を受ける年の合計所得金額が
「1,000万円以下」でなければなりません。

これを超える年は、控除を受けられないので注意してください。

 

注意点3:「特別特例取得」以外に13年の控除ができるケース

今回の税制改正で創設されたのは「特別特例取得」による13年の控除ですが、
これにあたらなくても、現行の要件にあたれば、13年の控除は受けられます。

現行で13年の控除が受けられるケースは、下記のとおりです。

 

入居期限 契約期限 備考
1 令和元年10月1日
~令和2年末まで
特になし(消費税率に注意) ・消費税8%の経過措置に注意
2 令和3年1月1日
~令和3年末まで
・新築:令和2年9月末
・既存住宅:令和2年11月末
・新型コロナの影響で、上記1の令和2年末までの入居要件が満たせないときのルール
・確定申告に「入居時期に関する申告者兼証明書」等の添付が必要

 

令和3年中に入居予定の方は、契約日や入居の遅延理由などから、上記2番(「特例取得」といいます)と「特別特例取得」のどちらになるかを判断するものと考えられます。