期間限定!法人税などから「最大9割」を税額控除できる法人向け「企業版ふるさと納税」

2023.09.20

税務トピックス

「企業版ふるさと納税」とは

企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)とは、企業が地方公共団体の地方創生プロジェクトに寄附を行った場合、「法人関係税から税額控除される」制度のことです。
内閣府地方創生推進事務局によると、令和3年度の寄附金額は約225.7億円、件数は4,922件です。令和2年度の約2倍の市場規模を誇り、今後も多くの法人がふるさと納税制度を活用することが予想されます。
企業版ふるさと納税制度は、地方の課題に対して企業が社会的責任を果たすことで、持続可能な社会を目指すとしています。そのため個人のふるさと納税とは異なり、寄附先から返礼品や経済的な利益を受け取れません。
また個人は所得税や住民税から控除されますが、企業は「法人住民税」「法人事業税」「法人税」から控除されます。

5つのメリット(令和6年度まで特例措置となります)

1.法人税などの負担軽減が見込める
税額負担を軽減できる点(法人関係税などから最大9割を控除できるため、企業の節税対策につながります)「最大6割の税額控除」「約3割の損金算入」となります。そのため、企業が負担する法人関係税は最小1割です。

2.新規事業を展開できる
寄附先の地方公共団体や地域住民と協働し、地域の課題解決に取り組めます。たとえば、IT製品を提供する企業の場合、地域のDX・デジタル化を支援するケースがあります。プロジェクトに取り組みながら、地域団体や住民から生の声を聴けるため、自社事業に関連する新しいニーズや市場の発見につながるでしょう。

3.企業のイメージアップが期待できる
法人企業としてのイメージアップや認知度拡大の効果が期待できる点、寄附先の地方公共団体や地域住民からは、社会貢献や地方創生の活動へ積極的に参画する企業として評価され、政府から高い評価を得られれば、「地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)に係る大臣表彰」を受賞する可能性があります。また地方創生に貢献した優秀な事例を広く社会に発信されることで、他の法人企業へのモデルケースとなるなど、自社のブランド力や信頼性が高まるでしょう。

4.地方公共団体と関係性を築ける
地方公共団体と信頼関係やパートナーシップを築くことにつながります。寄附先の地方公共団体は、企業の寄付に対して感謝の気持ちを示し、寄附者の情報や寄附内容を公表することが一般的です。また、寄附者の要望に応じて、寄附金の使途や効果について報告することもあります。これらのやり取りを通じて、法人と地方公共団体は良好な関係性を築けるでしょう。地域団体や住民と地方公共団体との交流で得た情報をもとに、適切なアイデア・施策を生み出し実行すれば、環境の保護や地域社会の改善などに寄付する企業として活動できます。

5.人材育成の機械を得られる
企業版ふるさと納税には人材派遣型が存在します。人材派遣型とは、企業からふるさと納税として寄附があった際に、寄附先の地域に当該企業の人材を派遣する制度です。人材派遣型の企業版ふるさと納税を利用すれば、企業は自社の人材を地方創生の現場に派遣できます。協働や異業種交流を通じて、社員のスキルアップや市や拡大、モチベーション向上などの効果が期待されるでしょう。

3つのデメリット

1.企業からのキャッシュアウトが伴う
企業版ふるさと納税を利用するためには、寄付金を企業のキャッシュから支出する必要があるため、企業の資金繰りや予算管理に影響を与える可能性があります。一方で寄付金は税額控除の対象となるため、法人関係税の負担を抑えられます。また寄付金は10万円以上から自由に選択でき、企業の規模や予算に応じて柔軟に寄付活動をおこなえることを把握しておきましょう。

2.返礼品の受け取りや経済的な利益の享受ができない
企業版ふるさと納税では、個人のふるさと納税とは異なり、寄附先から返礼品や経済的な利益を受け取ることができません。地方創生や社会貢献という非経済的な価値に重きを置くことで、公平性や透明性を確保するためです。そのため企業版ふるさと納税を通じて、自社のビジョンやミッションに沿った寄附活動をおこなうことで、一貫した企業活動やブランド力の向上につながります。

3.税額控除の対象に制限がある
企業版ふるさと納税で税額控除を受けるためには、国が認定した地方公共団体の地方創生プロジェクトに対して寄附する必要があります。地方創生に資する事業に対して優遇することで、地方公共団体や地域住民の自助努力を促すためです。一方、税額控除の対象となる地方公共団体や地方創生プロジェクトには多様であるうえに、平成28年度に創設されてから令和3年度までの寄附企業数は8,564件などの実績があります。多くの分野やテーマが存在するため、自社に適した事業を見つけられるでしょう。

法人税控除の条件

✓寄附先は、国が認定した「まち・ひと・しごと創生寄附活用事業」であること
✓1回あたりの寄付金は10万円以上であること
✓寄附の代償として経済的な利益を受けないこと
✓本社が所在する地方公共団体は対象外
✓地方交付税の不交付団体である都道府県は対象外
✓地方交付税の不交付団体であって、その全域が地方拠点強化税制における地方活力向上地域以外
の地域に存する市区町村は対象外

手続き方法

① 寄附先を選択する
② 各自治体の窓口に問い合わせる
③ 必要書類を提出し寄附をおこなう
④ 法人税および地方税申告時に別表を添付する

納税の事例

■京都府京都市|法人のイメージアップや認知度向上
「企業版ふるさと納税を活用した京都市SDGs未来都市推進計画」を掲げ、地域と文化を支える伝統産業や観光などの振興では、京都の伝統産業・伝統工芸や朝・夜観光、イベントなどについてのオフィシャルサイトを運営しています。
・地域と文化を支える伝統産業や観光などの振興
・木の文化の継承や京野菜などの農林畜水産物の生産・販売を応援
・文化遺産・文化芸術を守りたい
・京都らしい美しい景観の保全・継承
・三条大橋の補修・修景

■岩手県滝沢市|企業との交流促進
岩手県滝沢市では、「滝沢人」のブランド力を高める事業を展開しています。ITを活用した高度な技術や企業・事業化ノウハウなどを学べる講座を通して、世界に通用する人材を育成する事業です。
企業側は、事業を通して優秀な人材と出会えることや、講座の参加者との交流で生まれた事業アイデアに関われるなどのメリットがあります。

ブランドイメージの向上や新たなビジネスチャンスの創出、人材育成の機会を得られるなどのメリットが期待できます。ぜひご検討ください!

記事製作:経営革新等支援機関推進協議会